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診療時間
平日(月曜~金曜)10:00~19:00
第1・3日曜日9:00~17:00
(1)口が開かなくなった(あるいはスムーズに開かない)。
(2)硬いものを噛んだり、口を大きく開けようとすると耳の内あるいは前(顎関節)が痛い。
(3)口を開け閉めするとガクガク(あるいはジャリジャリ)音がする。などの症状がある。
このような場合、顎関節症が疑われます。
公益社団法人 日本口腔外科学会のホームページ(お口のトラブル相談室[顎関節])に簡潔にわかりやすくまとめられています。
こちらをご参照ください。
以下は、その補足としてまとめます。
現在、表1の多くのリスク因子が互いに影響しあって発症する多因子説が支持されています。
1. 解剖因子 | 顎関節や顎筋の構造的脆弱性 |
---|---|
2. 咬合因子 | 不良な咬合関係 |
3. 外傷因子 | かみちがい、打撲、転倒、交通外傷 |
4. 精神的因子 | 精神的緊張、不安、抑うつ |
5. 行動因子 |
|
出典:新編 顎関節症[改訂版] 一般社団法人日本顎関節学会編(2018年)より
似たような症状のため、顎関節症として治療されることもあり、後々になって判別されることのある疾患です。
これらの中には、悪性のものもあり、診断にあたっては細心の注意が必要です。
(1)滑膜軟骨腫症
(2)顎関節ガングリオン
(3)上顎の慢性智歯周囲炎
(4)副咽頭腔悪性腫瘍
(5)下顎ジストニア
(6)三叉神経ニューロパシー(炎症、脳腫瘍など)
(7)茎状突起過長症
(8)ALS(筋萎縮性側索硬化症)
(9)重症筋無力症
(10)膠原病 など
顎関節症の治療には大きく以下の2つの流れがあります。
(1)日本顎関節学会の推奨する基準治療
・生活指導、・理学療法、・薬物療法、・アプライアンス療法(いわゆるマウスピースやスプリント)、・外科的対応、・その他(咬合治療など)
顎関節症の発症、維持・永続化に関与するリスク因子(表1)の中には、不良な咬合関係というものがあるが、その関与は低く、咬合治療はあまり重要視しない立場。
(2)咬合治療を重要視する立場:シークエンシャル咬合(オーストリアンナソロジー)理論等に基づき、コンディログラフ(キャディアックス)、MRIなど、精密診断装置を駆使し、下顎位のズレや顎関節への圧迫を診断し、下顎位を適正化して、理想的な咬合と顎関節機能の回復を目指す、咬合治療を重要視する立場。
私は、日本顎関節学会の正会員であり、毎年総会や講演会に出席し、研鑽を重ねてきました。従って、本会の顎関節症治療に対する基本的アプローチに関して、発症の初期に不可逆的な咬合治療をしないことや保存的治療(生活指導、・理学療法、・薬物療法、・アプライアンス療法[いわゆるマウスピースやスプリント])を第一選択することなど基本的に尊重する次第です。しかしながら、臨床を重ねるうちに、これらのアプローチだけでは対応が難しい症例が散見されるようになりました。
大学の顎関節症専門医に治療を受けても、いつまでたっても快適にならない。いつも咬合や顎関節の不快感、偏頭痛、抑鬱状態などで苦しんでいる患者さんに遭遇して来たのです。これらの患者さんは、非常に咬合に敏感な(Sensitive)方々で、通常の患者さんと同様に咬合を扱ってはまずいことになるのです(適応[adaptation]は期待できません)。また、咬合に問題があるため下顎位の変位や顎関節の圧迫が明らかにある状態を放置して、保存療法(対症療法)を続けていて、下顎頭の変形が急激に進みますます咬合不全となる場合もあります(特発性/進行性下顎頭吸収[ICR/PCR])。
もちろんこのような患者さんの中には口腔心身症の一種であるPhantom Bite Syndrome(幻影咬合症候群、咬合違和感症候群)など中枢性(脳)の問題で引き起こされている場合もあり得ます。
多くの歯科医は、これらの患者さん方を不定愁訴(ふていしゅうそ)と見捨ててしまいがちではありますが、近年の精密な診断機器(fMRIやコンディログラフ[キャディアックス等])の発達などで、咬合(下顎位)のズレや顎関節の圧迫、適正下顎位の診断がある程度可能となってきました。
従って、当院の顎関節症治療に対する立場は、急性期でなくて、明らかな咬合の問題(早期接触、咬頭干渉、咬合干渉、咬合支持の喪失等)があって、キャディアックス(顎関節精密機能検査機器)で明らかに顎関節に圧迫・下顎位変位・クリッキング等認められ、顎関節痛や頭痛、頸・肩・背部の痛み・凝りなどがあった場合(但し精神・心理的要因に起因しない場合)は、咬合を積極的に正しい位置(適正下顎位)に変え、顎関節の圧迫・変位を是正し、更にそれが安定して保てるように、バランスの良い咬合を構築するということを是とする、咬合を重要視する立場です。
顎関節症の3大症状(上記1の(1)~(3))を訴えてご来院なさった患者さんに対しては、急性期でないことと、少なくとも以下の症状でないことを確認し、顎関節症の診断をしていきます。
*少なくとも以下の症状でないこと
(1)開口障害25mm未満
(2)顎関節部や咀嚼筋部の腫脹を認める
(3)神経脱落症状を認める
(4)発熱を伴う
(5)他関節に症状を伴う
(6)安静時痛を伴う
(7)顎関節症状以外の訴えも強く、精神・心理的要因が強く疑われる
詳細な顎関節と咬合の検査を行います。
X線検査(パノラマ、セファロ[正面、側面]、顎関節断層撮影)、咬合模型検査(RPマウント)、キャディアックスによる顎運動機能検査等
*検査の詳細は、矯正治療の項をご参照ください。
上記の診断結果を詳しく分析し、現状の詳しい説明を行います。
下顎位・咬合に問題がある場合は、それを是正すべく、矯正治療を含む咬合治療の提案をしていきます。そして、十分なご理解・ご納得を頂いた上で、治療がスタートとなります。
参考例として、2019年4月25日に出版された「大分の頼れるお医者さん(大分インフォメーションハウス株式会社)」からの掲載記事を以下に公開します。
こちらからご確認ください。